我輩は泥沼である。締め切りは、まだ見えない。
どこでバグったかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした部屋でデバッグしていた事だけは記憶している。
我輩はここで初めて死人というものを見た。しかもあとで聞くとそれはプログラマーという人間中で一番自宅に帰れない種族であったそうだ。
この種族は苺柄の抱き枕とか怪しいものを好んで使うようだ。なんでもプログラマーにはヲタクと呼ばれる輩も多いそうだ。ギャルゲーやエローゲーなどが好まれるという噂もあるが我が輩は、まだ現場を見たことがない
この会社に入ってしばらくはよい心持ちに坐っておったが、しばらくすると非常事態になったらしく無闇に目が回るほど忙しくなった。やがて胸が悪くなる、吐き気がする、眩暈がする、到底助からぬと思っていると、どさりと音がして隣の机で音がした。どうも、心筋梗塞で死んだようだ。南無阿弥陀仏である。
ようやくの思いで睡眠をとると、耳元で声がする。プロジェクトは中断したようだ。何でもリーマンショックとかいうものの影響で開発がストップしたらしい。せっかく正社員で就職できたのに、やれやれである。