| 樋川 繁 | 第5回 最優秀作品 | 児が描きし路地の地面の蛸入道逃れるごとく雨に消えゆく |
| 山田 伊知子 | 第5回 特別賞 | 山際の街の夕べを点し初む水銀燈はまだ空の色 |
| 小林 嘉子 | 第5回 優秀作品 | 二十六歳汝が誕生日還暦の父と母とが車椅子押す |
| 伊東 紀美子 | 第5回 佳作 | ふわふわと毬藻のごとく揺れおりし青栗の棘するどくなりぬ |
| 大桑 とし子 | 第5回 佳作 | ねこじやしどの兒に触れてくすぐろかわらべ六人通るあぜ道 |
| 片山 洋子 | 第5回 佳作 | われを待つ子に手を振りて陸橋を虹渡るごと駆けりて行きぬ |
| 北野 真樹 | 第5回 佳作 | シベリアに夏のあること救ひとし墓地に群れ咲く野の花手向く |
| 小林 寿子 | 第5回 佳作 | 室内の空気掻き分け歩むとき猫より密かぞわが独居は |
| 細井 静史 | 第5回 佳作 | 水皺照る大夕凧に旗挙げてあたらしき船鯛網を統 |
| 田中 みち | 第5回 入選 | 見開きの絵本のハイジをいつまでも泣かせて昼を幼は眠る |
| 飯盛 敬子 | 第5回 入選 | ぐるぐるとねじれるガラスのストローを素直に登る林檎のジュース |
| 尾高 すわ | 第5回 入選 | 高々と解体作業員の手は擧がり茅葺大屋根一瞬に墜つ |
| 熊王 政江 | 第5回 入選 | ときどきは足すべらせる音きこゆ寒雀らは屋根に遊ぶも |
| 関 信子 | 第5回 入選 | 赤旗を掲げつづけて終へし兄世に有らば今何を掲げむ |
| 棚橋 久子 | 第5回 入選 | 権力者の像倒されしトップ写真古新聞としてきりきり括る |
| 中川 清彌 | 第5回 入選 | 百姓で悔なしと言ひ放ち来て休耕田に立つ寂しき |
| 保科 郁夫 | 第5回 入選 | 半生をむこぼれてゆきしものばかり見つめれば次第にさみしき両掌 |
| 山田 とく子 | 第5回 入選 | 家ごとに迎え火の跡ある路地ゆけば祖父の賑わうごとき暗がり |
| 米窪 美和子 | 第5回 入選 | 商人の祖父が使ひし銭箱にアクセサリーなどわれは入れ置く |