| 岡部 すず子 | 第12回最優秀作品 | 未完なる恋人の裸像初々し戦死の画家を待ちいしままに |
| 平林 昌子 | 第12回特別賞 | 二千一年一月と期限ある薬来世紀に飲まむカゼ薬ルル |
| 長谷川 利春 | 第12回優秀作品 | 竹とんぼ過去へ過去へと飛んでゆきわれに小さきてのひらありき |
| 第12回優秀作品 | 信濃より便りとどきしそのひと日ほのぼの温し霜月の午後 | |
| 青木 智子 | 第12回佳作 | 画き残し征きて還らぬ学生のかなしみながきこの無言館 |
| 菊地 正広 | 第12回佳作 | 廃業の心きまらず仔豚らの桜いろなる背を撫でいる |
| 倉沢 寿子 | 第12回佳作 | 亡き父が記せる若き日のノート誰にか愛を告ぐる歌あり |
| 高羽 眞砂子 | 第12回佳作 | 玉鋼造る初炉のがうがうと猛る炎に息子の向かひをり |
| 小松 久仁子 | 第12回佳作 | 翼ひろげ一気にとびたたむ勢ひに走り出したり一輪車の少女 |
| 間 瑞枝 | 第12回佳作 | 産道をくぐりしままにとがりいる赤児の頭恐れつつ抱く |
| 上牧 右田子 | 第12回入選 | はんみょうを追いたる網に蛙入れる幼の移り気誘う野の道 |
| 島田 誠 | 第12回入選 | これと云ふ用事なけれど黙しゐる老妻を不意に呼びたくて呼ぶ |
| 安田 ひさ江 | 第12回入選 | ゆうらりと舞台に似たるひと部屋をクレーンが吊る現代建築 |
| 山口 寅吉 | 第12回入選 | 肩ぐるまわれより高き眼の位置の子が捉へたる視野の一点 |
| 菅原 洋子 | 第12回入選 | 手を取りて逃れし祖母も母も亡く三十八回数ふる津波記念日 |
| 鈴木 照子 | 第12回入選 | 記憶装置すこやかにしてすらすらと父母の戒名子の電話番号 |
| 瀬賀 国雄 | 第12回入選 | 看とらるる我の姿を思ひしに妻を看とりて八年過ぎたり |
| 石川 京 | 第12回入選 | 背の高さに柱時計の位置変えて今日より独りのぜんまいを巻く |
| 関本 ゆきみ | 第12回入選 | 青春を問はれて疼く満州な友が自決の否の墓標 |
| 羽田 ゆき子 | 第12回入選 | 透明のアクアリウムにゐるごとき屋内プールに魚となりゆく |
| 武居 洋 | 第12回奨励賞 | あか星を射止めんとする矢のごとく飛行雲湧く夜明けの空に |
| 野崎 妙子 | 第12回奨励賞 | 熟れそめしブルーベリーのふかき藍露に濡れ摘む眼を病む夫に |
| 春名 恒昭 | 第12回奨励賞 | チェーンソーのエンジン切りて汗だくのシャツ脱ぐ体を夕日が照らす |
| 藤曲 剛志 | 第12回奨励賞 | 歌会の私は織女というひとに我は牽牛と言いて別れる |
| 高橋 澄子 | 第12回奨励賞 | 春浅く冷たき風は身を打ちて逝きしばかりの夫を恋おしむ |
| 泉 明 | 第12回奨励賞 | アトピーは遺伝にあらず懸念すな優しき嫁よ玉の子を生め |
| 形岡 トミ | 第12回奨励賞 | 山の駅待合室に敷かれあり丸き座蒲団藍の匂いす |