| 前野 真左子 | 第13回最優秀作品 | ニッポニア ニッポンとして生れし雛おのが淋しき素性は知らず |
| 畑中 郁子 | 第13回特別賞 | 国籍を持たぬ善知鳥が一斉に発つ国後島を臨む海の辺 |
| 新井 富子 | 第13回優秀作品 | 汚職なき歴史のみなる国ありやデザイン簡明美なり日の丸 |
| 花岡 貴美子 | 第13回優秀作品 | 青年と呼ぶいっぽんの緑樹ありわが老残に実生の楓 |
| 岩本 ハルエ | 第13回佳作 | 雌花咲く西瓜の上を飛ぶ蝶に交配まかせて牛舎に戻る |
| 酒寄 久子 | 第13回佳作 | 「すずらん」の子役の演技に喉の奥「キュッ」と窄まり涙腺ゆるむ |
| 南沢 豊美 | 第13回佳作 | 種遺すことなき一代交配のきうり艶やかにハウスに実る |
| 武内 みよし | 第13回佳作 | トンネルを出づれば一面蕎麦の花明るむ向かう故郷が見ゆ |
| 肥沼 嘉久 | 第13回佳作 | 信濃より嫁の待ち来し朝採りの茸は山の落葉をまとふ |
| 山崎 暁子 | 第13回佳作 | 海の音ききつつ人を待ちをれば遠世よりここにまちゐるごとし |
| 代田 良 | 第13回佳作 | 押し花の科の木の花なほ匂ひ碌山館訪ひし昂りつづく |
| 金子 圭子 | 第13回入選 | 夫はもう忘れたかしらおめでとう一人呟く結婚記念日 |
| 塚原 愛子 | 第13回入選 | 大型店に押されおされて「屋」と付きし店消えてゆく我が店もまた |
| 並木 一夫 | 第13回入選 | 洗われし芽吹きの山を跨ぎたる大虹映す早苗田の凪 |
| 藤曲 剛志 | 第13回入選 | 祭り日の子供相撲の横綱は母の手をひき夜店にねだる |
| 吉岡 弥寿子 | 第13回入選 | 朝の陽に向きて発ちゆく始発バスの運転手の耳紅く透く見ゆ |
| 藤本 奈良子 | 第13回入選 | 盛りあがり膨れそよげる樟若葉少年の日の大志のごとし |
| 平野 のり子 | 第13回入選 | 引き取ると誰も言わざり一人住む姑の米寿を子らは祝えど |
| 佐々木 泰孝 | 第13回入選 | 鎌の柄をときには杖にし草を刈る八十五歳のこの身たしかむ |
| 紫野 蓼子 | 第13回入選 | 野づかさは均されむとす裾辺なる沼地の蒲の伏しみだれつつ |
| 米倉 清子 | 第13回入選 | 郭公が啼いたよ今日は豆播かん丹波の黒き大粒のまめ |
| 倉沢 寿子 | 第13回奨励賞 | 交番に貼らるる行方不明者のひとり写真の少年は笑む |
| 斎藤 いくみ | 第13回奨励賞 | スイッチを押せば金魚が泳ぎ出すすすぎ忘れし赤いソックス |
| 西野木 始子 | 第13回奨励賞 | 時雨くる租谷かづら橋の揺れ強し前ゆく人に觸れつつ渡る |
| 古谷 義次 | 第13回奨励賞 | アゼイリアの小さき小鈴は螺旋なす細き穂先へ咲きて登りぬ |
| 李 幸子 | 第13回奨励賞 | 教え子の持ちきたりたるりんどうの今朝教卓はさわやかさます |
| 石井 静子 | 第13回奨励賞 | 雲の上を歩く如くに嬰児が諸の掌ひろげふはふはと来る |
| 馬島 光雄 | 第13回奨励賞 | 職退きて空白がちの予定表に少なき行事を文字太く書く |
| 鈴木 嘉子 | 第13回奨励賞 | 中学生となりし初孫少女さび我との距離を少し広げぬ |