第19回入賞作品一覧



県名 市町村名 名前 短歌
静岡県 熱海市 原   一 男 図書館の窓に映りし桜見て今日は書架より西行運ぶ 最優秀賞
長野県 千曲市 高 橋 民 夫 核ミサイルの射程の中に住む不安薔薇を剪りつつ妻はつぶやく 特別賞
静岡県 静岡市 植 野 京 子 盛り土に重たき顎を休ませて巨人のようにショベルカー眠る 優秀作品
高知県 東洋町 坂 本 弘 勝 介護保険納付に九十が気負い焼きぬ窯出す炭は金属の音 優秀作品
長野県 佐久市 小 林 そ の 孫ほどの若き介護士のさわやかな笑顔にホールの老いら和めり 優秀作品
千葉県 館山市 藤 井 昌 子 沖釣りに出でたる夫はどのあたりひびく霧笛の底ごもる音 佳作
長野県 茅野市 向 山 かな子 臨月に入りたる吾子が歩みくる地球をまるごと抱くやうにして 佳作
長野県 諏訪市 百 瀬 嘉 一 いつしらに葉は地に伏せし玉葱の白きやは肌せり上り来つ 佳作
長野県 塩尻市 嶋 崎 千 歳 積み上げし積木を倒す快感を幼は早も知りてしまひぬ 佳作
三重県 松阪市 坂 内 真美子 懐妊の喜び知る嫁知らぬ嫁ふたりの声が弾みて聞ゆ 佳作
長野県 麻績村 臼 井 靖 子 千里征き千里帰るを希いつつ寅年我は千人針縫えり 入選
山口県 岩国市 山 田 千代子 死者も生者も腑分けのごとき姿して彼の日ありたりひろしまの夏 入選
長野県 上田市 小 林 さよ子 癒えし身に墨の香清し絵手紙のバナナを大きく大きく描け 入選
大阪府 豊中市 三 上 富之助 熊野こそすなわち浄土千年の祈りの道にあゆみ入りにき 入選
神奈川県 川崎市 松 原 佳 江 老い母の足膝にのせ爪を切る農に生き来し強張る足を 入選
長野県 飯田市 林   静 磨 地球博三十余国のパビリオン巡りて満足・ああくたびれた 入選
愛知県 瀬戸市 青 山 美佐子 全身の骨くづれゆく錯覚に痩せ細る夫をしづかに洗ふ 入選
埼玉県 本庄市 倉 本 敬 子 豊満な乳房恥じたる若き日を恋いつつ術後の胸をいとおしむ 入選
岡山県 笠岡市 坂 本 茂 子 爛爛と目を輝かせ迫り来る八歳の孫将棋の盤に 入選
群馬県 水上町 荒 木 みよ子 待ち待ちし雨の降りたり一昨年の豆種むっくり生えて空向く 入選
静岡県 掛川市 田 中 初 枝 これからも宜しく頼むと夫が言ふ七十八歳の誕生日の朝 奨励賞
長野県 川上村 由 井 ひませ 五十五年添ひ来し夫の盛りくるる小さき茶碗の飯あたたかし 奨励賞
福岡県 福岡市 上 野 恭 子 病む夫の麻痺の掌摩り次の世も添いてゆきなむ杖ともなりて 奨励賞
長野県 飯山市 宮 沢 竹 彦 息ひとつ大きく吸って虫殺す農薬撒布機のエンジンかける 奨励賞
静岡県 熱海市 大 野 千代子 手に触れて七十余年のつややかさ市に売らるるカピタン御召 奨励賞
青森県 南部町 八木田 順 峰 地下足袋の鞐かければ足首に若さがもどる梅雨晴れの朝 奨励賞
長野県 塩尻市 廣 瀬 治 子 庭先におはぐろとんぼ住みついて四日目には我が指にとまる 奨励賞
岐阜県 各務原市 政 井 繁 之 わが職場を奪ひしロボット丹念に磨きて去りぬあと濁すなく 奨励賞
千葉県 印西市 吉 川 晴 雄 送り来しみかんに添へし走り書眼患へる姉の字まがる 奨励賞
青森県 十和田市 中 里 茉莉子 耳鳴りは地球の声か家裏にほたるぶくろはみなうつむきて 奨励賞
京都府 綾部市 野 崎 妙 子 ゆふさればやさしき言葉かけてみぬ物忘れしげくなりゆく夫に 奨励賞
新潟県 新潟市 本 間 秀 子 ごみ捨てに行く夫を追ふ黒き猫傘さしかけて猫とゆく夫 奨励賞
愛知県 春日井市 長 縄 広 治 逝く春を独り住む身となりにけり老人ホームに妻あづけきて 奨励賞
千葉県 館山市 高 野 伊津子 六軒の同じ貌せる菜園に同じ顔せるきゅうりが茄子が 奨励賞
長野県 宮田村 新 谷 秀 子 触覚に頼れる盲夫と視覚のわれと共に楽しむ雨後の紫陽花 奨励賞
福岡県 那珂川町 江 頭 静 枝 突撃前乱れし文字の寄せ書に「静枝」の二文字のこされてをり 奨励賞
北海道 北広島市 渡 辺 千鶴子 寺が好き聞法が好き出会ひ好きただそれのみに札所を巡る 奨励賞
長野県 長野市 中 沢 まつえ 朝飯の用意している吾の横朝採り野菜ホイと夫置く 奨励賞
山形県 温海町 佐々木 政 子 庭潦に映る木の枝つつくがに鴉飲みをり子鴉もゐて 奨励賞
高知県 高知市 井 上 美羊子 戦死せし伯父二十七歳その妻八十二歳並べる墓碑に槿の花影 奨励賞
長野県 飯田市 山 田 ふ み 看護師は夫のシューズを渡しつつさりげなく言う歩行不能を 奨励賞
長野県 飯田市 関 島 八 百 身重なる身をかばいつつ田植せし五十年前を荒れし田に偲ぶ 奨励賞
長野県 塩尻市 梅 本 敬 子 職工の油に染みし夫の爪仕事なき日日つづきゐて白き 奨励賞
長野県 塩尻市 小 林 百合子 木曽路果て山ふところに分け入れば水の青さに言葉失う 奨励賞
栃木県 那須塩原市 高 松 三枝子 惚けつつも吾を待ちゐる母ありてカーネーション抱き今日は訪ふ 奨励賞
福島県 白沢村 菊 地 正 広 橋渡る電動椅子のわが胸に白鳥影を落して過ぎぬ 奨励賞
長野県 宮田村 河 井 房 子 香ばしくマドレーヌ焼きてわが少女家庭訪問の先生を待つ 奨励賞
東京都 渋谷区 平 野 豊 子 奈良井宿が塩尻市となる何がなし造り酒屋の杉玉が哭く 奨励賞
茨城県 友部町 鈴 木 香 織 ひもじさに食べてしまったお手玉の中身の大豆 疎開児の冬 奨励賞
長野県 塩尻市 小 野 美佐子 御柱の綱縒り上げて木遣歌とよもす杜に雪のしずるる 奨励賞
長野県 上田市 石 井 利 子 一声の笛に始まる能舞台亡父の励みし謡身に沁む 奨励賞
岐阜県 中津川市 末 松 裕 子 君が代斉唱の監視役置く卒業式子らの心は置き去りのまま 奨励賞
富山県 富山市 大 伴   拓 終戦のかの夜自裁を図りたる父は短躯の第二国民兵 奨励賞
神奈川県 川崎市 川 野 愛 子 伊豆天城数千の蛍輝けばニューブリテン島に蛍の樹が哭く 奨励賞
新潟県 上越市 草 間 美千子 ひと山を越えれば棚田開けきてしもつけ草の咲き満ちている 奨励賞
新潟県 新潟市 吉 岡 泰 三 われ一人となりたる食卓それぞれの椅子そのままに面影を置く 奨励賞
静岡県 浜松市 仲 村 正 男 足裏が火照り始めぬ霜柱踏みつつ棚田刈り終る頃 奨励賞
岡山県 鴨方町 永 広 安 治 小作農にて一世を終へし亡父を思ふ物余り心廃れゆく世に 奨励賞
新潟県 新潟市 安樂城 智 子 果てし無き稲田のなかに中学生ひとり降ろして北越本線発つ 奨励賞
北海道 別海町 長 尾 和 美 牛を呼ぶ少年の口笛透りゆき地平の太陽ますます赫し 奨励賞
長野県 塩尻市 雨 宮 かず子 ひっそりと黒のパラソルさしてゆくひるがほの咲く炎天の径 奨励賞
長野県 上田市 田 中 敦 子 "夏空へ草刈機唸り大池の土手の草刈る汗の顔、かほ" 奨励賞
静岡県 南伊豆町 高 橋   満 引揚げて半世紀経し大陸に望郷の念今も残れり 奨励賞
群馬県 玉村町 山 田 逸 男 昨日赤今日はぴんくと唇がうそを重ねる娘は気まぐれ 奨励賞