| 県名 | 市町村名 | 名前 | 短歌 | 賞 |
|---|---|---|---|---|
| 長野県 | 大桑村 | 鈴木 昌親 | D51の終の乗務の汽笛吹きし塩尻駅はぶどう香りき | 最優秀 |
| 長野県 | 松本市 | 横山 昌子 | 頬摺りておのこおなごの双子抱く二十歳遥けしわれは九十歳 | 優 秀 |
| 北海道 | 札幌市 | 二十歳でも十九歳と変わらずに青くさい香りいも虫のように | 〃 | |
| 東京都 | 杉並区 | 赤司喜美子 | 窓下を遠ざかりゆく足音に耳すましおりぶどうが匂う | 〃 |
| 徳島県 | 美波町 | 下町 昭 | じいちゃんはぶどう色だと決められて好きになりたる紫を着る | 佳 作 |
| 石川県 | 金沢市 | 北西佐和子 | もう少しまるくなるまで寝かしおく白き葡萄酒きみの憤懣 | 〃 |
| 長野県 | 安曇野市 | 矢花 彪二 | 吐魯蕃の駱駝曳く子は仰向きて水飲むごとく葡萄を食めり | 〃 |
| 富山県 | 富山市 | 北川 邦彦 | ぶどう園笑う娘の走り来て熟した房の間に間に映る | 〃 |
| 埼玉県 | 所沢市 | 若山 巖 | 本生りと末生りとでは喉越しに微妙な差あり干葡萄にも | 〃 |
| 新潟県 | 新潟市 | 吉岡 泰三 | 値の下り採り残されしぶどう園に和みつつ鵯の群れゐる | 〃 |
| 東京都 | 江東区 | 木下 豊子 | アルバムの二十歳のわれは笑みてをりその十日後の父の死も知らで | 〃 |
| 長野県 | 松川町 | 米山恵美子 | 連綿と人潤しし葡萄なり彼の銅鏡の葡萄唐草 | 〃 |
| 長野県 | 塩尻市 | 田中 正志 | 台風に押しつぶされし葡萄棚涙怺へて起しゆくなり | 〃 |
| 東京都 | 武蔵村山市 | 高階 雅信 | 十五年過ぐるも去らぬ座敷わらし二十歳のままをのこす俤 | 〃 |
| 大阪府 | 茨木市 | 松本多美男 | 文庫には文庫の香あり厚紙の扉ひらけば葡萄一房 | 〃 |
| 兵庫県 | 小野市 | 松尾 鹿次 | 農協の集金に来る藤原君同級生の孫なりはたち | 〃 |
| 大阪府 | 岸和田市 | 向井 靖雄 | ひたぶるに心臓移植のドナー待つ二十歳の孫が折る千羽鶴 | 〃 |
| 長野県 | 塩尻市 | 原 和子 | 高齢化のぶどう作りも難儀なり猫の手クラブの助けを借りる | 〃 |
| 長野県 | 塩尻市 | 雨宮かず子 | 一升瓶の葡萄酒どんとおかれたる卓を囲みて亡き人ら踊る | 〃 |
| 佐賀県 | 佐賀市 | 宮地 梢 | 一房のぶだうのごとく七人のわれらはらから寄りそひ育つ | 〃 |
| 長野県 | 飯田市 | 熊谷よね子 | 叔父たちの征きたる家のがらんどう棚の葡萄は風に揺れいき | 〃 |
| 宮崎県 | 木城町 | 壱岐志津子 | 庭に立ち落下傘部隊の訓練を飽きず見ていし二十の青春 | 〃 |
| 福岡県 | 大野城市 | 飯田 俟子 | 声わかく二人の気持ちは二十歳など軽くうたえり夜のテレビに | 〃 |
| 愛知県 | 豊田市 | 原田みさを | つぶらな実つるり丸めて僧となり友の変身ぶどう送りし | 〃 |
| 埼玉県 | 新座市 | 舟山 桂子 | 素足にてぶどう潰しし乙女の日ワイン醸造芳醇なりし | 〃 |
| 長野県 | 諏訪市 | 金子 圭子 | ばあちゃんはぶどうを食べるの早いねとふた粒入れた口覗かるる | 〃 |
| 愛知県 | 新城市 | 伊田あや子 | つぶさずにつぶされずにとつぶら実の寄り添うちからぶどうひと房 | 〃 |
| 岐阜県 | 中津川市 | 赤尾 袈夫 | 村に慣れて農の顔して友来たり農新聞に葡萄包みて | 〃 |
| 県名 | 市町村名 | 名前 | 短歌 | 賞 |
|---|---|---|---|---|
| 神奈川県 | 川崎市 | 江國 梓 | 夏の夜に兄の回した幻灯機ふすまの上をアリスと旅した | 最優秀 |
| 三重県 | 伊賀市 | 出後 幸子 | 頑張りをそれぞれの節に溜めている木の根の如き吾が手を撫でる | 特 別 |
| 長野県 | 塩尻市 | 百瀬 正子 | 媼らの襁褓つぎつぎ取替へて青年介護士さりげなくゆく | 優 秀 |
| 長野県 | 塩尻市 | 近藤 武夫 | 八百メートル泳ぎ切つたり台に立つ八十六歳そつと微笑む | 〃 |
| 広島県 | 東広島市 | 児山 浩子 | 今日もまた幼き命消されしと聞きて加わる防犯の列 | 〃 |
| 長野県 | 高森町 | 北原 政利 | 仲間みな焼酎づけとなりし今葉陰に黄ばむ梅の実ひとつ | 〃 |
| 山梨県 | 笛吹市 | 関口 春江 | 結婚をしない女孫は黒帯三段見合い写真に空手の所作見す | 佳 作 |
| 長野県 | 諏訪市 | 百瀬 嘉一 | 代掻をすれば近よるわが友よ長き尾振り振り背黒鶺鴒 | 〃 |
| 長野県 | 大町市 | 宮尾 光雄 | 沖縄の惨禍をまなび孫たちが旅終え帰る日雪はしんしん | 〃 |
| 愛知県 | 名古屋市 | 米山貴美子 | 生くる者みなくろぐろと影曳きて夏空の下墓地より帰り来 | 〃 |
| 長野県 | 松川村 | 山崎 圭子 | 老い二人背負い上げ来し桑の葉を六万匹がざわめきて喰む | 〃 |
| 宮城県 | 仙台市 | 小松久仁子 | キラキラと輝きし日はなかりしがダイヤモンド婚を祝はれてをり | 入 選 |
| 長野県 | 長野市 | 小松 安和 | デーサービス老婆初恋語りいてしきりと聞こゆカッコー鳴く声 | 〃 |
| 千葉県 | 館山市 | 高野伊津子 | あたらしき命をしかと抱きてゐる授乳の嫁はしっとりと母 | 〃 |
| 長野県 | 塩尻市 | 成田実枝子 | 「田舎銀座」と言われし昔今は無くポツンと残る吾が店の一灯 | 〃 |
| 長野県 | 諏訪市 | 野明 芳 | 今日学徒征きたる日なり胸あつく九条はいま風に揺れおり | 〃 |
| 長野県 | 宮田村 | 新谷 秀子 | 地下足袋は六枚鞐日盛りもきびきび働く茶髪の庭師 | 〃 |
| 青森県 | 三沢市 | 石橋 澄子 | 握手するこれが最後と言ふ君を仙台駅で見失ひたり | 〃 |
| 愛知県 | 豊橋市 | 鈴木 昌宏 | 作業終へ鎌を洗へばあした刈る土手の青草風に波打つ | 〃 |
| 長野県 | 松本市 | 田中 靜子 | 無念さを噛みしむごときリズムもち夫がリハビリの足音つづく | 〃 |
| 北海道 | 別海町 | 長尾 和美 | 島を返せ太き文字の見ゆる野に海峡の霧湧きて流るる | 〃 |
| 長野県 | 大町市 | 中村 麻雄 | 駆けくだる獅子の雪形あらわれて畑打つ老いに力湧きくる | 奨 励 |
| 長野県 | 塩尻市 | 宮原 文江 | 駒ひきて糧を運びし幾世代権兵衛隧道みやまつらぬく | 〃 |
| 山梨県 | 甲府市 | 中西知恵能 | 曾祖父の桔梗が原の開拓の地たわわに実るぶどう郷と化す | 〃 |
| 新潟県 | 十日町市 | 関口 京子 | 残したる夫のパジャマを纏ひ寝るあの日のやうにねむりたいから | 〃 |
| 群馬県 | 館林市 | 本川ミヤ子 | 闇に浮くほたる袋の仄明かり昔むかしは皇子も夜這いす | 〃 |
| 埼玉県 | 川越市 | 正木 経子 | 茄子苗を植えいるわれを病弱な夫が見に来ぬ長ぐつはいて | 〃 |
| 長野県 | 塩尻市 | 横山よ志子 | 寄り集い桜の下ゆく入学児の胸に揺れいる防犯ブザー | 〃 |
| 長野県 | 諏訪市 | 宮阪 幸 | 膝をつき手をつき土に平伏して草取る畑に陽炎ゆるる | 〃 |
| 兵庫県 | 加東市 | 小紫 博子 | それぞれにしあはせいろの灯の点る向かう三軒わが両隣 | 〃 |
| 長野県 | 宮田村 | 石曽根 香 | カマキリの幼のいくつ逃れゆくわれの拙く草刈る前を | 〃 |
| 埼玉県 | 秩父市 | 岡部すず子 | 一人住む家の軒端の春日影「畑に居ます」と賢治のように | 〃 |
| 東京都 | 練馬区 | 佐藤 次郎 | デモ隊のわれらを擲ちし警官も老い共に酌む半世紀経て | 〃 |
| 長野県 | 伊那市 | 御子柴 錦 | 肺気腫で路上に屈む夫の背に労るごとく春の陽は差す | 〃 |
| 長野県 | 佐久穂町 | 高見澤博一 | 跡つぎと決まり許したトラクターの屋敷田起こす婿を見まもる | 〃 |
| 東京都 | 昭島市 | 森田美江子 | 切迫流産の長き患ひを撥ね除けし3120グラムの初孫を抱く | 〃 |
| 長野県 | 塩尻市 | 手塚とよ子 | 九十になりても野良へ出向く母苗植える手は未だ軽やか | 〃 |
| 長野県 | 中野市 | 塚田 幸子 | 治るよね食事の度に病床の夫に呟き胃に管通す | 〃 |
| 東京都 | 調布市 | 矢農 リン | 腹の癌切除せし身は帰り来ぬ鉄ぽう百合白く群れ咲く庭に | 〃 |
| 長野県 | 麻績村 | 宮下喜和枝 | 兄戰死八月八日近づきぬ洗う碑に顕つ行年二十歳 | 〃 |
| 新潟県 | 柏崎市 | 神林 敏夫 | 人影も車も消えて仮設住宅五棟しろつめくさのなかに静もる | 〃 |
| 大分県 | 大分市 | 首藤 忠 | 堆肥撒くゴム手を脱ぎて剥く桃のしずくしたたる畦草の上 | 〃 |
| 長野県 | 飯山市 | 小川みつぎ | つばくろの雛の声する軒陰に苗代茱萸の赤く熟れをり | 〃 |
| 埼玉県 | 川越市 | 水村 浅子 | 髪あげて被爆の傷痕見せし友明日退院の夜はじめて語る | 〃 |
| 長野県 | 川上村 | 吉沢 豊子 | 嬰児を背負い手をひき出征を見送る妻の像の哀しも | 〃 |
| 千葉県 | 市川市 | 西嶋 法子 | 「誰かのために征くと思いたい」粉雪の夜乞われし写真還ることなし | 〃 |
| 長野県 | 諏訪市 | 浜 浜雄 | 「パッパはだめ」と二歳の孫の言ふに負け最後の一本を吸ひ終りたり | 〃 |
| 長野県 | 松本市 | 山口 正之 | 乳飲み児を背負える妻と五十年前植えし山の木売れぬ世となる | 〃 |
| 長野県 | 宮田村 | 河井 房子 | 百歳の母を護りて峡出でぬ友に合はせつ喜寿クラス会 | 〃 |
| 静岡県 | 大井川町 | 畑 春代 | 紺青の空澄み渡る此の朝我に男の子のひ孫生まるる | 〃 |
| 長野県 | 塩尻市 | 安田ひさ江 | 送り盆子も孫も来ずゆるる萩唯ぼんやりと眺めてをりぬ | 〃 |
| 富山県 | 富山市 | 木村 八朗 | 荒梅雨の雨に打たるる電線の巣立ちし燕ら軒へ戻らず | 〃 |
| 長野県 | 塩尻市 | 青木 豊子 | 日に幾度履く地下足袋の掛けこはぜしつくりゆかぬ外国製は | 〃 |
| 長野県 | 下諏訪町 | 古田 ぬい | 定年となりし夫の手伝いをはじめて受けて葡萄出荷す | 〃 |
| 長野県 | 長野市 | 宮下いち子 | かつて眼を「銃後」といふ戦場に失ひし母よ新しきラジオを買はむ | 〃 |
| 長野県 | 長野市 | 金山 敏子 | 清ら布を蘇らせし人の手元より舟のごと上布の上をすべる杼 | 〃 |
| 福井県 | 越前市 | 増田千代子 | 商いに父が使いし大算盤はじきて居ればちちの匂いす | 〃 |
| 長野県 | 千曲市 | 日詰百合子 | 人捜がす施設の屋外放送にときに不安になりて慣れゆく | 〃 |
| 長野県 | 木曽町 | 池井十与子 | 何処までも青葉深かり八十八歳の歩を失ひし姑の退院 | 〃 |
| 東京都 | 東村山市 | 岡本 和子 | 母を叱る姉をたしなめている吾は姉より母に遠い存在 | 〃 |
| 兵庫県 | 小野市 | 藤井早苗子 | ふみしめてふみしめながら幼児の一歩一歩が吾に近づく | 〃 |
| 群馬県 | 富岡市 | 高田 波津 | 千年の木は千年もたせんと塔建ちあげる宮大工いふ | 〃 |
| 長野県 | 伊那市 | 高橋 忠 | 平和行進に今年も参加せりしんがりに核兵器廃絶のプラカード掲げて | 〃 |
| 神奈川県 | 川崎市 | 窪田 雅夫 | 枇杷の樹は大き鳥籠実の熟れてひねもす去らぬ鵯のにぎはし | 〃 |